奈良有名専門店会 × 奈良女子大学

2019.11.26

発酵の力が生み出す美味しい日本酒!『奈良豊澤酒造』さんへ

秋があっという間に過ぎ去り、冬の足音がすぐそばまで聞こえてくるようになりました。

皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

 

今回お邪魔したのは『奈良豊澤酒造株式会社』さんです!

ここ奈良豊澤酒造さんは、「豊祝」というブランドの日本酒をメインに作られている酒造メーカーさんです。

布団が恋しい、こたつから出られない、そんな肌寒い季節がシーズンなのが『日本酒』です。

というのも、今でこそ機械によって通年生産が可能になりましたが、

秋から春にかけて、「新米を使って長期低温発酵させる」ことで、美味しい日本酒が作られてきたという歴史があるのです。

 

奈良豊澤酒造さんの創業は1868年(明治元年)。なんと今年で151年目という長い歴史をもっていらっしゃいます。

しかし、他に300年や400年もの歴史をもつ酒蔵さんも当然のようにあるそう。

約150年が「若い」と言われると不思議な感じがしますね。はるか昔から、お酒が人々の生活に寄り添っていたことがうかがえます。

 

そして、そんなお酒…「日本酒」の発祥地と言われているのが、ここ奈良県奈良市なのです。(※諸説あります)

かつてお酒は朝廷に献上するものでした。

そんなお酒は、人手や材料である米が一定数確保されている寺社でつくられるようになりました。

中でも、奈良の正暦時でつくられるお酒の品質が良い、と評判になったことから、正暦時に伝わる製法が全国に広まったと言われているそうです。

500年前の手法から、1つの工程も大きく変化することなく、現代も同様の手法でつくられている、

すごいことです!!

 

そんな日本酒発祥の地で、奈良豊澤酒造さんは、県内の日本酒生産量トップを誇っています。

年間でつくられるお酒は5000石。1石=100本(一升瓶)なので、年間一升瓶50万本を生産されているそう。

全国の大手酒造メーカーさんと比べるとやや小規模とのことですが、

奈良豊澤酒造さんの強みは「希少価値の高い、こだわりのお酒」をつくられていること!

 

 

そんなこだわりの日本酒つくりを見学させて頂きました~!

こちらは「酒米」です。

日本酒の原材料は米・米麹・水・酵母です。

酒米はそのうちの米にあたります。

この酒米は、私たちが普段口にしているお米よりデンプンが多く、たんぱく質が少ないお酒つくりに適したお米で、

「酒造好適米」と言われます。

日本酒は、米に含まれるデンプンが糖分になり、その糖分の一部がアルコールになることで作られます。

たんぱく質は、お米として食べるには「うまみ」ですが、発酵を経る日本酒にとっては雑味になります。

よって、美味しい日本酒つくりにおいては、この酒米を用いるのです。

 

始めに糠を落とします。そして、日本酒の種類によってその割合を変えつつ、お米の粒の外側を削ります(精米)。

お米の粒の構造は、外側がたんぱく質や脂質が多く、内側が芯白(心白)と呼ばれるデンプンの層になっています。階級によって削る割合を変えることで、味わいも変化します。

例えば、奈良豊澤酒造さんの看板「大吟醸 豊祝」につかわれるお米は、35%まで削ります。

ほぼデンプン質のみなので、甘く、極上の日本酒になるそう…!

「大吟醸 豊祝」。高級感のある素敵なパッケージです。

 

次にお米を蒸気で蒸し上げます。

外側を硬く、芯をふっくらと蒸します。この状態を「外硬内軟」と言い、日本酒つくりにおいて理想の状態なんだそう。

 

次に「麹室(こうじむろ)」と呼ばれる、温かい部屋で、蒸したお米に菌をつけ、麹をつくります。

美味しくないお酒は麹が悪い、と言われるほど、お酒つくりにおいて麹は重要な部分です。

 

次に、先程の麹や水、蒸米を合わせ、酒母をつくります。

酒母は、強い酵母を増やしたものです。日本酒の味と香りの母体になります。

ぷくぷく泡立っているのがなんとも可愛かったです。微生物の生を感じます。

 

その隣では、成分分析を行うスペースが!状態を数値化することで、常に高品質を保っています。

 

いよいよ発酵です。仕込蔵と呼ばれるところで、低温で発酵させます。

温度が高すぎると、日本酒らしい華やかな香りや、味わいの広がりが失われてしまうそう。

優しくゆっくり発酵させるんですね。

 

最後に搾ります。見た目は巨大なアコーディオンのようでした。

搾り終えると、このひだの部分のは酒粕がびっちりついてるのだとか。

 

搾りたてのお酒を試飲させて頂きました。

甘さも苦みも酸味も…搾りたてだからこその複雑な味わい。

面白い美味しさでした!!

 

私が、奈良豊澤酒造さんの見学を経て感じたのは、「お酒は面白い」ということです。

500年前と同じ手法で、日々変化する生き物と向き合う。伝統的かつ革新的です。

それを守り、より広く、深く、伝えているのが奈良豊澤酒造さんなのだと思いました。

お酒づくりの過程を解説たっぷりで見学させて頂き、

見て、聴いて、飲んで、楽しい一日になりました。ありがとうございます!

 

奈良豊澤酒造さんのお酒は、購入してご自宅で楽しめるだけでなく、

近鉄奈良駅や大和西大寺、大阪難波駅にある飲み屋さんでも頂けます。

冷酒もさることながら、これからの季節、是非熱燗で、身も心もあたたまってみてはいかがでしょうか?

 

 

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